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代表取締役ブログ

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貴社が熾烈なマーケットで生き残る為に

とうとうWBCが始まりましたね。 頑張れニッポン! 私も折角東京に引っ越して来たので球場で応援したかったのですが、チケットが手に入りませんでした・・・(涙)。

野球の人気が停滞気味の昨今、これだけ人気が出て来たことは大変嬉しく思います。 日本の二連覇を祈りつつ、試合は自宅の特等席で観覧することに致します。


ところで 皆様 USP(Unique Selling Point/Unique Selling Propositionとも言います。)という言葉をご存知でしょうか? 他の人が持っていない長所であらゆる競争の世界で生き抜いて行く為に強い武器となりえるものがそれにあたります。 

野球つながりで恐縮ですが、先日 日本初の女子プロ野球選手になった女子高校生の吉田えり選手が顕著なUSPを持っていますのでご紹介致します。 

彼女は投手ですが、プロ野球選手でも滅多にいないナックルボールという魔球を投げることができるのです。 このボールは投げた投手でさえ何処に辿り着くかわからない、軌道も予測できない、そしてボールに回転がかかっていないので打たれても飛距離が出ない・・・という無敵の魔球です。

プロ野球の世界では ピッチャーは140Km以上で投げられて当たり前なのですが、吉田選手は非力で最速101Kmのストレートしか投げることが出来ません。 でも その様な彼女でさえ プロ野球選手になれたのはナックルボールを投げることが出来るというUSPがあるからです。 今後の彼女の活躍に大変期待したいと思います。



さて 本日わたくしがUSPをお話したのは他でもありません。 不況のおり、更に激しくなった生存競争の中、とても有効な方法の一つとしてUSPを上手にアピールすることを知って頂くことで是非とも御社の売り上げ向上に役立てて頂きたいと思っているからなのです。

今までお会いして来た企業経営者の方でUSPをお持ちでない会社を代表されている方はいらっしゃいませんでした。 見つけ出すのが困難な場合もありますが、 御社も必ず 何か一つは持っておられる筈です。 早速探し出してみましょう。 

御社の商品が協会から表彰された、専門家から推薦された、業界で初めての製品を作った、ある製品の業界シェアがNo.1だ、欧米では引く手数多の特許で保護された製品の独占販売権を日本では御社唯一が持っている・・・等々 あらゆることが考えられます。 

見つかりましたか? ご自身がお持ちのイメージ、業界の評価は簡単に判明することだと想像しますが、 それは既に固定概念化されているものでUSPとして弱いことも多々あります。 それでは従来のイメージから脱却することは難しいので、 業界と全く関係の無い方の評価、視点を織り込んでUSPを探求してみることも大事です。 

USPは競合企業が持っていない強みが明確になることで御社の市場での活動を優位にします。 他にも優れた効果を持っていますが、 何だと思いますか?

実は、USPは新たな市場を創造し(ブルーオーシャンを切り開く)、有効に活用することで御社がその市場でトップになり 莫大な利益を生む可能性を充分に秘めているのです!

ご存知の様に、日本の様に既に成熟している市場では体力を持つモノ(大企業)が生き残り利益を上げる構造になっている為、後発の会社が市場に参入しシェアを確保するのには大変労力がかかります。 しかし、新たな市場を切り開くことが出来たら その市場では御社がトップに! 莫大な利益をあげることが可能ですね?

でも そんなことって本当に出来るの? 簡単にそれが出来たら世話ないよねぇ・・・と普通は思うだろうと想像します。 その為、ブルーオーシャンを切り開いて莫大な利益をあげた実例を一緒に検証することで、その大変さを考えてみたいと思います。



オーストラリアのワインメーカでイエローテイルという新たな市場を創造して莫大な利益を出したメーカがあります。 

従来 ワインとは、高価で、フランスのボルドー地方に代表される一握りの地域で産出されたものが市場を占有し新参者には入り込む余地が無い排他的な市場です。 そして購入者も 蘊蓄をたれて飲むのが好きな人が多い、面倒くさい、あまり一般受けしない飲み物だ・・・というのが通説です(私の意見ではありません)。 

しかし、オーストラリアのワインメーカはこれを逆手に取り 新たな市場を開拓します。 蘊蓄を足れなくても気軽に飲むことが出来る新しい飲み物として(実はワインなのに)ビールと同じ位の値段で売り出すのです。 

するとどうなるか? 今までワインなんて面倒くさい飲み物に見向きもしなかった購買層(ビールを飲む人達ですね)とワインを嗜むけれどもイエローテイルにも興味がある購買層の人達が共にこれを買ったのです。 

元々気軽にワインを楽しむには良い値段で、味も悪くないことから イエローテイルは飛ぶ様に売れ、そのワインメーカはウハウハで笑いが止まらなくなる・・・という状態になる訳です。 今やイエローテイルはアメリカ/日本で一番売れるワインブランドです。

そもそもワインをワインとは異なる飲み物として市場を切り広げて行くのは 日本のビール業界と同じで発泡酒や第3のビール・・・等を入れて売り上げを伸ばして行く方法に良く似ていますが、これが定着するまでの活動で一番大変だったのは何だと思われますか? 

実は販売促進活動ではなかったのです。 一度活動内容が決定すると 計画通りに活動を進めて行けば良いのですが(といっても計画通りに進めるのはとても大変なのはご承知の通りです。)・・・。 この様な販売戦略を思いつくのが一番大変だったようです。

今までとは全く異なる方法で販売するのを思いつくのが大変だったということですね。 この閃きがあったのは常時イエローテイルを売り出す方法を考え 悩みに悩んでいたからでしょう。 USPを考えだし、売り出す方法を工夫したことで世界一のワインメーカになることを実現した訳です。



次に異なる業界のお話をしますが、アメリカのサウスウエスト航空のお話はご存知でしょうか? 航空業界はチケットの値下げ合戦が続き、利益を出すことがとても難しいことで知られています。

日本航空の社長がご自分の年収をパイロットの年収より低い960万円に抑え会社の財務体質を改善する活動が 会社を経営破綻させ社会に混乱をおこした金融業界のエグゼクティブがたくさん居るアメリカでも賞賛されたのはつい最近のニュースです。

日本とは異なり陸が繋がっているアメリカならば バスやレンタカー、自家用車も競争相手になります。そして日本の様な厳しい規制が無い為 他国からもドンドン市場に参入して来る競争がとても激しい業界です。 

果たして、利益を出す為にサウスウエスト航空はどういうUSPを考えついたのでしょうか? ”合理化”です。

機体を一機種に統合することでメンテナンスの簡便化、チケットを発行しないでプラスチックの札に変える、機体の清掃も運行クルーが実践、運行ルートをニッチな地域に集約・・・等々 とことん合理化を図った訳です。

でも これだけだと良くあることで、利益が出ても会社だけが儲かる歪んだ構造で長期的には競争力を失うことに繋がりかねません。 しかし 彼等はお客様にも従業員にも株主にも支持されずっと競争力を維持し続けたのでした。 どうやってこれを実現したのでしょう? 3つの理由が考えられます。


1.合理化を進めてもサービスの手を抜かなかった。

運航費を格安にする為、飲み物/食べ物のサービスをやめましたが、だからと言って サービスを止めた訳ではありません。 機長自らがプレスリーの格好をして機内にお客様を案内したり クルー全員で仮装してお客様が楽しんで快適に旅行出来る様にもてなしたり・・・ 画一的なサービスがなされている航空業界でも質の異なるサービスを提供することでお客様に受け入れて貰ったのでした。 


2.従業員にやる気を持たせた。

良いサービスは良い職場環境から創出されます。 雁字搦めの社内ルールを適用して不必要な管理を強いるより、従業員に裁量を与えて行動に制限を加えなかったのが良かったのでしょう(かといって、最低限の社会の常識や航空業界のルール等は守った訳ですけれども)。 創造的な企業活動が行われた訳です。


3.利益を分配した。

会社の利益は誰のモノでしょうか? 従業員? 株主? 経営者? 良くあるのが経営者だけの利益になることですが、この会社は全てに還元したのでした。 合理化によるコスト削減で利益が出る、それが従業員にも還元されると社員はやる気も出ます。 そしてより良いボーナスを期待するので更に職務に励む訳です。 +のサイクルが企業活動をより良いものにする訳です。


そして これらのUSPを市場にアピールすることで顧客の誘因に成功したのです。 良いニュースをアピールすると市場はそれに興味を持って 取引をしたくなるお客様が増えるのですね。 口コミがお客様を呼ぶ典型例でしょう。



ブルーオーシャンを開拓して成功した会社は他にもたくさんあります。

・アップルはずっと不振が続いていたのに、新しい市場をipodで切り開いて成功しましたね(他にもSonyやiriver等沢山のメーカがこれに追随していますけれどもipodの独り勝ちですね?)? 

・任天堂がDSとWiiという新しいゲーム機器を導入したことで莫大な利益をあげています。

・ユニクロが高いファッション製を持つ高機能の衣料を格安で販売することで不況のアパレル業界の中で唯一利益を出しています。



さて、この様にブルーオーシャンを切り開いて行った会社は大変成功していますが、 実際に御社が切り開いて行くにはどの様なスキルが必要でしょうか? 考えてみましょう。

市場の状態、顧客が求めているもの、競合の状態をリサーチし、御社が提供出来るサービスと合わせて分析することで 今現在存在しない新たな市場が見えてくるかも知れません。

先日 偶々 カナダの知人から「新たなビジネスに着手したいけれどもお前も入りたいか?」というお誘いがありました。 一体 何なんだ? と興味を持ってみてみましたが 直ぐに断りました。 実は日本ではビジネスモデルとして既に成立して沢山の人が参加しているものだったのですが、カナダではこれは未だ普及していないとのことでした。

又、オーストラリアの知人からもインターネットで日用品の販売を行わないか?とお誘いを受けたこともあります。 2年くらい前の話で現在は状況が変わっているかも知れませんが 当時 オーストラリアでは未だネットで売買するビジネスモデルが成立していなかったそうです。

日本の常識、我々が持っている知識では考えられない世界です。


世界には未だ我々の社会で定着している商品/サービスがそれほど普及していないものは沢山あります。 グローバル化が進んだことから、固定化された市場を相手に商うだけではもはや難しいでしょう。 ライバルが始める前に 今直ぐ リサーチとブルーオーシャンを開拓する努力を始めましょう。 

ご成功をお祈り申し上げます。

 

 

 

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